大五郎建設はこの度、古材再利用の為の調査、解体の依頼を受け作業を行いました。対象物件は昭和37年に建てられた家です。 この工事が行われた2022年の時点ですでに築60年以上経っています。こうした古い家は日本全国に沢山あり、長寿命設計の凄さを実感する事ができます。 古材鑑定をしたところ、使える柱や古材が少なからず残されていました。
一般社団法人全国古民家再生協会での「古民家」の定義は、昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた「伝統的建造物の住宅」すなわち伝統構法としています。 ですが、一般的に「古民家とは建築後50年経過した建物」ともされており、築50年以上の古い木造の家は日本全国にたくさん存在しています。古くなったこれらの家を「リフォームして住み続けるか」「完全に解体するか」 という問題が日本全国で発生しています。
古い家を所有しているけれど、今後どうしていけばいいのか解らない。そのようなご相談を多く頂いております。「リフォームして住み続けたいが、どうリフォームしていいのか分からない」 「相続時に売却を考えているが、解体せずに住んでくれる人に譲りたい」「解体する事になったが立派な木材が使われているので捨てるのは勿体無い(建替で使いたい)」 「古民家を移築して住みたい」等、古民家に関する様々な事について、何でもご相談ください。
新民家とは、これから建てられる木造住宅で50年後に「古民家と同じく長期間住まい続けることが可能な新築木造住宅の事」です。 また、古民家再築とは、築50年以上の木造住宅でメンテナンスすることでまだ長期間住まい続けることが出来る住宅リフォームの事です。
一般建築で主に使用されている「人工乾燥材(強制乾燥材)」は、乾燥時間が短縮でき、短時間で強度を上げられ、反りや割れなどがなくなり加工しやすい木材となりますが、
樹脂まで染み出してしまいパサパサに。そのため木の弾力性や艶はなくなり、強度も減ってしまい、木材の行う呼吸(調湿効果)も下がります。
また、人工乾燥材は年月の経過により内側の割れが発生し、強度に問題が生じるため短命の住宅となってしまいます。
それに対して、自然乾燥材は年月の経過により施工後も木材が乾燥する為、外側の割れは発生しますが強度には影響しない為、長寿命の住宅を建てる事ができるのです。
いわば古材は長い時間をかけて自然乾燥をしていき強度を増していく「天然乾燥材」です。樹齢100年の檜(ヒノキ)の場合は伐採されてから100年後が最も引っ張り強度・圧縮強度が増しており、
その後はゆるやかに強度が減少し、300年を経過すると伐採時と同程度の強度に戻るという研究結果もあります。
法隆寺などに代表される日本の伝統建築が、自然乾燥材がいかに長命かを実証しています。この長命な自然乾燥材を活かした新築が新民家、古民家を活かし復活させるリフォームが古民家再築です。
大五郎建設には専門の資格を持った大工が複数在籍しています。
南房総市I様邸は築60年以上、大きな柱や木材が少なからず残されており、これらをなるべく再利用して再建築する事が施主様の意向です。この度の施工は「古材鑑定」「循環型解体」を行いました。 「古材鑑定」では、古材のコンディション評価(再利用可能かどうかの判断・評価)を行い、屋根裏から床下までを徹底調査し、どこの柱を残し、どこを壊すか等の手順を段取りしました。 家の中にある神棚や梁、扉、鴨井等も評価の対象です。目的は大きく分けて下記の通りです。
古材鑑定は、鑑定士が長年住み続けた古い家に使用されている古材の価値を専門的立場より価値を評価するものです。 古材鑑定を行うと、古材を複数の観点から評価され古材鑑定書が発行されます。それにより、古材の状態が明確にわかり、再利用・再活用に関する情報が得られます。 また、鑑定士より、鑑定した古材を活かしたリフォーム(古民家再築)や循環型解体などのご提案もさせて頂くが可能です。
循環型解体は、古民家を解体する際に古材鑑定を行い、古材を少しでも活かせるカタチで残し、次の世代へ継承できるような解体方法です。 ただ解体するのではなく、古民家に眠る古材を活かし、地球環境に配慮した循環型建築社会の構築を推し進めるものです。 循環型解体を行う事で、捨てられてしまっていた古材をこれから建てられる家に再利用・活用する事が出来ます。また、古材を再利用する事でCO2の削減にもなります。